2022年3月14日
PRESS RELEASE
無人運航船の実運用を模擬した実証実験実施
無人運航システムを用いて東京港・津松阪港間 約 790kmを往復
公益財団法人 日本財団が進める無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」における「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」に参画するDFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship)コンソーシアムは、2022年2月26日から3月1日にかけて、東京港と津松阪港間
約790kmで無人運航船の実運用を模擬した実証実験を実施しました。東京計器株式会社(代表取締役社長執行役員:安藤毅、本社:東京都大田区、以下、当社)はDFFASコンソーシアム※1に参加し、船上の自動運航システム、陸上の非常対応ブロックの開発を担当しています。
実証実験は、自律航行機能を搭載したコンテナ船「すざく」(全長95.23m、総トン数749トン)と遠隔操船機能や機関の異常予知機能などの陸上から無人運航船の運航を支援する機能を有した「陸上支援センター」を衛星・地上通信回線で結び、将来の無人運航船の実運用を模擬した形で実施し、東京港~津松阪港~東京港の約790kmにおける航海を離岸操船・湾内航行・沿岸航行・着岸操船といった一連の航海を無人運航システム※2で成し遂げました。
無人運航船の未来創造プロジェクト ~多様な専門家で描くグランド・デザイン~
DFFASコンソーシアムは、国内の多種多様な30社を核に、国内外の協力企業・組織をあわせた約60社で構成されるコンソーシアムで、無人運航船に必要な包括的な無人運航システムをオープンイノベーションによる開発体制で進めてきました。コンテナ船「すざく」を実験船とし、千葉県千葉市に構えた陸上支援センターからの運航支援の下、東京港~津松阪港~東京港の往復約790kmの区間を航行しました。
一日あたりの航行隻数が約500隻※3という世界屈指の海上交通過密海域である東京湾内の無人運航システムによる航行を成し遂げたことは、今回の無人運航技術の高さを証明すると共に、実用化を強力に推進し、内航船業界が抱える労働力不足・海難事故といった社会的課題の解決、さらには無人運航船の実運用における陸上支援センターの有用性の証明は、船員の新たな働き方や労働力の創出が期待されます。
実証実験、開発のポイント
DFFASコンソーシアムでは、無人運航船の社会実装を想定し、設計段階からリスクアセスメントを積み重ね、包括的な無人運航システムを開発しました。
具体的には、①自律機能を司る船舶側システム、②遠隔操船機能・機関異常予知機能を含めた陸上から船舶を監視・支援する陸上側システム、③船陸間における安定した情報通信維持を司る通信システム、の3つです。
特に②については、実際に「陸上支援センター」を立ち上げ、通常は船上の船員が担う気象海象情報、交通流情報、船上機器状態などを陸上支援センターで収集・分析し、無人運航船にフィードバックすることで無人運航船の航行を支えました。また非常時には、陸上支援センターから遠隔操船を行うことで、システムの安全性と安定性を担保しました。
当社の役割
当社は船上の自動運航システムと陸上の非常対応ブロックの開発を担当し、「すざく」の自律航行、遠隔操船に貢献しました。当社製のオートパイロットPR-9000が有するトラックコントロールシステム(Track Control
System)は、本船が予定航路上を航行するように常に舵を制御し、安全・確実な自律運航を実現しました。自動運航システムの一部であるPR-9000と非常対応ブロックに組み込まれた多機能型ジョイスティックコントローラMJS-9000が連携することにより、陸上支援センターからの遠隔操船が確実に行えることが実証されました。このように、東京港~津松阪港の往復という長時間の無人航行の実現に当社オートパイロットが大きく貢献しました。
また、自動運航システムには当社製の光ファイバージャイロコンパスTF-1000も組み込まれ、船首方位計測および船の動揺計測に活躍しました。光ファイバージャイロコンパスは可動部がないため定期的なメンテナンスが不要であり、起動が短時間で済み、ダイナミックレンジが広いという優れた特長があります。船の動揺計測も可能な次世代のジャイロコンパスとして注目されており、無人運航船に求められる高精度な姿勢方位センサとして期待を集めています。
DFFASシステムに搭載されたオートパイロットPR-9000
高性能光ファイバージャイロコンパスTF-1000
陸上支援センターの非常対応ブロックに搭載された
多機能型ジョイスティックコントローラ―MJS-9000
実証実験に使用された貨物船「すざく」
DFFASシステムは後部デッキのコンテナに収納されている。
※1 DFFAS(Designing the Future of Full Autonomous Ship)コンソーシアムとは、日本海洋科学を中心として構成されたコンソーシアム。参画企業は日本海洋科学(代表)、イコーズ、ウェザーニューズ、EIZO、MTI、日本電信電話、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、近海郵船、サンフレム、三和ドック、ジャパンハムワージ、ジャパン マリンユナイテッド、スカパーJSAT、鈴与海運、東京海上日動火災保険、東京計器、ナブテスコ、NX海運、日本郵船、日本シップヤード、日本無線、BEMAC、pluszero、古野電気、本田重工業、三浦工業、三井住友海上火災保険、三菱総合研究所、YDKテクノロジーズ。
※2 DFFASコンソーシアムが開発した無人運航船システムにおいては、自律船フレームワーク「APExS-auto」が採用されております。APExS-autoは、日本海事協会ならびにフランス船級協会 Bureau VeritasにAiP認証承認申請中。
※3 国土交通省関東地方整備局 東京湾口航路事務所
(https://www.pa.ktr.mlit.go.jp/wankou/data/index.htm)
本件に関する(公財)日本財団のプレスリリース
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