当社グループは、製造業としての生命線であるサプライチェーンを持続的で強固なものとするため、サプライヤーとの共存共栄を意識しながら、市場や社会、環境の急激な変化に対応できる強い資材購買体制に変革していきます。また、Scope3のGHG(温室効果ガス)排出量削減、有害物質、人権問題など、さまざまな社会的要求事項に取り組んでいきます。
従前の資材調達に関わる遵守事項に加え、取引先との持続的な関係の構築や、人権保護・環境保全といった社会的な課題に責任を持った資材調達を行っていくことを、企業として宣言するため、サステナブル資材調達方針を制定しました。
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公平・公正な取引
資材調達にあたっては、公平な取引を行うことを前提とし、品質・価格・納期・環境配慮などの基本的な評価事項や取引の持続性、継続的な改善姿勢などを公正かつ総合的に評価したうえで、誠実に選定を行います。
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コンプライアンス遵守と適切な情報の管理
取引を行うにあたっては、社会規範や関連法規を遵守し、取引を通じて知り得た情報を適切に管理します。また、機密情報については漏洩の防止を徹底します。
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モノづくりのパートナーとしての関係構築
取引を行うにあたっては、取引先をモノづくりのパートナーとして相手のビジョン・立場を尊重し、中長期的視点に立って信頼関係を構築することで、取引先との相互繁栄による競争力強化を目指していきます。
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持続的な品質と信頼の確保
調達部材の品質維持による顧客や市場からの信頼の確保を目的とし、当社が取引先と協働して持続的な品質マネジメント体制を構築します。
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安全衛生・労働環境・人権、紛争鉱物への配慮
取引を行うにあたっては、サプライチェーンにおける安全衛生、労働環境ならびに人権に配慮した資材調達活動を推進します。
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グリーン調達による地球環境との調和
資材調達にあたっては、当社の環境方針に則り環境保全に努め、取引先とともに地球環境に配慮したGHG排出量削減や有害な含有化学物質の削減などを含むグリーン調達活動を推進していきます。
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サプライチェーンBCPの実現
災害や不測の事態に備え、取引先と協働してサプライチェーンにおける従業員の安全性と企業活動の継続性とを維持するBCP体制の構築に取り組み、適切な対策を講じます。
当社グループのサプライチェーンマネジメント体制は、本社スタッフである資材管理室と、各カンパニーの購買部門により構成されています。
資材管理室は社長直轄の組織として、各カンパニーの購買業務を支援しています。全社に係る基本方針や「標準購買規程」、当社グループで使用する定型の「取引基本契約書」の維持管理、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の全社への指導、購買業務および買掛金業務の統括、基幹情報システム(TBBシステム)の維持管理、サプライヤーの経営情報に基づく与信管理、協同組合および協力会加盟取引先への活動支援などの管理業務と、本社地区の製品開発用資材の調達を担当しています。
各カンパニーの購買部門は、主に各カンパニーの生産活動に必要な生産資材の調達を行っており、国内外のサプライヤーと効率的かつ公平・公正な購買取引を行っています。取引開始に当たっては取引基本契約書を締結することを原則としており、購買業務でTBBシステムを使用することで標準購買規程に則った運用となるように設定されています。
各購買担当者の能力開発はカンパニーごとに実施しています。また、資材管理室は各カンパニーの購買部門に対して購買担当者の下請法セミナー受講を働きかけており、2022年度は購買担当者55名中30名が受講しました。
当社グループは、人権を尊重するとともに、個人情報の適切な管理を行います。また、従業員の人権・人格・個性を尊重するとともに、働きがいのある職場を提供することが当社の競争力の維持・強化につながるとの考えのもと、人種・国籍・性別・年齢等を問わず、多様な人材が活躍できる企業を目指します。また、海外法人やサプライヤーの事業活動においても人権侵害がないよう、日常業務を通じてモニタリングを行います。
“ グリーンパートナー制度”とは、「地球環境にやさしい」モノづくりを推進するために、サプライチェーン全体で生産工程から有害物質を排除するための取り組みで、当社とサプライヤーの各社が一体となって推進しているものです。
この取り組みでは、生産ラインにおいて有害物質の使用・混入などが起きないよう自主的に品質管理ができる能力を有し、当社の設けた管理基準を満たすサプライヤーをグリーンパートナーとして認定させていただき、製品もしくは部品ごとに行っている非含有証明書の提出あるいは含有化学物質調査の一部を不要としています。また、当社からグリーンパートナーに対し、部材等の含有化学物質調査・分析の支援、環境関連の情報の提供、環境関連の教育の支援等、各種サービスを提供しています。
サプライヤー向けの事業方針説明会を、当社グループの主要な生産拠点(那須工場、矢板工場、佐野工場)ごとに毎年5月に実施し、情報共有に努めています。
品質監査については各カンパニーの品質マネジメントシステムに基づき、取引開始時の品質監査や定期品質監査、臨時品質監査を適宜実施しています。当社グループのサプライヤーの規模はさまざまですが、特に部品加工依頼先は小規模な会社が多く、購買担当者との直接対面での対話を重視しています。対面での対話を重視することで、サプライヤー側での労働環境状態や品質管理に関する実態の把握がしやすく、サプライヤーとの長期的な信頼関係構築にもつながっています。
当社では、事業活動全体におけるサプライチェーン排出量を把握し効果的に削減するため、環境省の「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」に沿ってサプライチェーン全体の排出量算定を行いました。
Scope3排出量の内訳は右表の通りです。カテゴリ1(購入した製品・サービス)が全体の55.2%と最も多く、次にカテゴリ11(販売した製品の使用)が33.7%となっており、Scope3排出量の削減には、これら2つのカテゴリの実態把握と削減施策の立案・実施が有効であることが確認できましたので、今後はこれらの取り組みを推進していきます。
なお、Scope3については近い将来、一次データ(算定ではなく実データ)を使っての算定に置き換わっていくことが予想されるため、当社は2025年度までにScope3の目標値を定めることとしています。
Scope3 CO2排出量算定まとめ(2022年度)
※1 対象外(リース資産による排出はScope1、2に計上)
※2 対象外(完成品は委託物流のためカテゴリ4に含む)
※3 対象外(当社製品は完成品のため、販売後の加工はない)
※4 対象外(該当するリース資産無し)
※5 対象外(該当するフランチャイズ無し)
※6 対象外(該当する投資無し)
算定方法:サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(環境省、経済産業省)に準拠
算定期間:2022年4月1日~2023年3月31日
算定範囲:東京計器単体