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Views No.124【簡易版】 ゲリラ豪雨の水害から地域を守れ

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ゲリラ豪雨から地域を守れ 溢水対策用レベル計RPL-10

最近、梅雨や台風の時期を中心に毎年のように集中豪雨による被害が発生しています。

昨年8月に気象庁が発表した統計によると、1時間に80ミリ以上の「猛烈な雨」が降った回数は1980年代と比べて過去10年間で50%近く増え、今後も増加する可能性が高いと報告されています。
こうした気候変動に加え、都市部ではヒートアイランド現象やビルの高層化による上昇気流の発生などの影響もあって「ゲリラ豪雨」が発生しやすい環境条件となっています。
アスファルトやコンクリートで地表を覆われた都市部では、ひとたびゲリラ豪雨が発生すれば下水道に大量の雨水が流入し、下水管路で排水しきれなくなった水は地上に溢れ出します。
溢れ出た水が、地下街や地下鉄などに大量に流れ込めばその被害はさらに大きなものになってしまうことでしょう。

これは都市型水害と呼ばれる新しいタイプの災害であり、集中豪雨に向けた早急な安全対策が求められています。

水害に向けた安全対策

こうした状況を受けて2015年11月、洪水からの逃げ遅れゼロと社会経済被害の最小化を目的に「水防法等の一部を改正する法律」が施行されました。これによって地方自治体の首長は、内水※により相当な損害が生じる恐れのある下水道(水位周知下水道)を指定し、雨水出水特別警戒水位(内水氾濫危険水位)を定めることとされています。雨水出水特別警戒水位は、ビルや地下街等の地下空間の利用者が地上までの避難時間を確保できるよう設定することが義務付けられています。このため、水位周知下水道の指定にあたっては水位計等による観測データの収集体制を構築する必要があります。

水位計が水没する

河川の水位計測には東京計器の電波レベル計が活躍しており、下水道マンホール内の水位監視においては平面アンテナ式の電波レベル計MRF-10が数多く採用されています。しかし、電波レベル計の原理は本体から電波を発射してそれが水面から反射して戻ってくるまでの時間によって水位を求める方式のため、防水構造設計のMRF-10であっても本体が水没するような異常水位になれば計測不能に陥ります。一方、こうした局面で有利なのが圧力式水位計です。これは「投げ込み式水位計」とも呼ばれ、圧力センサを下水管の底部に設置して水圧によって水位を計測するものです。ただ、マンホールの水位監視用として使用するには2つの弱点があります。それは管底部のセンサがゴミや堆積物で埋もれると計測できなくなることと大気圧補正の問題です。水圧には大気圧成分が含まれるため、正確な水位を求めるためには中空ケーブル(空気パイプ)を外部に出して大気圧を相殺(大気圧補正)し、水圧だけのデータを検出する必要があります。しかし、大雨が降って路面が冠水すれば中空ケーブルにも水が入ってしまうため正しい水位情報が得られないばかりか、機器の損傷に繋がってしまうのです。

※河川の水を外水と呼ぶのに対し、堤防で守られた内側の土地(居住区)にある水を内水と呼ぶ。雨水は下水道などを通じて河川に排出されるが、集中豪雨によって処理しきれなくなるとマンホールなどから水が溢れ、建物や道路が水に浸かってしまうことがある。これを内水氾濫という。

電波式と圧力式をハイブリッドした水位計

新開発の「溢水対策用レベル計RPL-10」は、こうした電波レベル計と圧力式レベル計の弱点を補うと共にそのメリットを最大限に活かした他に例をみないユニークな水位計です。
電波レベル計MRF- 10をベースとし、BLUEDGE※で協業する長野計器株式会社の圧力センサを組合わせました。その仕組みは、通常の水位計測は電波レベル計で行い、電波レベル計の計測範囲を超える水位に達すると圧力センサでの計測に自動的に切り換わるというものです。圧力式レベル計の大気圧補正は電波レベル計に搭載されたマイクロプロセッサが圧力センサのデータを校正(キャリブレーション)することで行うため中空ケーブルによる大気開放は不要となりました。

また、平常時は電波レベル計で計測するため圧力センサを下水管底部に設置する必要が無くなり、堆積物によるエラーの心配もありません。下水管の底部からマンホールの蓋に至る超ワイドな水位計測を実現しました。これによって浸水の恐れがある現場に速やかに職員を派遣できるようになるほか氾濫危険情報の配信や避難指示、避難勧告を発令する際の意思決定にも役立ちます。また、豪雨発生時の水位変化をデータベース化することによってより効果的な水害対策の立案にも貢献が期待できます。
激化と頻発化が懸念される集中豪雨への対策は社会の安全・安心を守るためにも重要な課題です。こうしたニーズにお応えするために開発された溢水対策用レベル計RPL-10の活躍にご期待ください。

※2011年、当社は海外水ビジネス市場への本格参入を目指し、長野計器株式会社、株式会社チノー、株式会社オーバルと業務提携しました。BLUEDGEは、その協業を象徴する統一ブランドです。

Views No.124 PDF版(約3.8MB)

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