気候変動への取り組み
東京計器グループは、自社の事業が気候変動に与える影響を最小限に抑えるための活動としてGHG排出量の削減や、省資源・省エネルギーの推進に取り組んでいます。また、将来の気候変動が当社グループの事業に与える影響を抑えるための取り組みも進めています。
当社は、2022年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。TCFDの枠組みを活用し、気候変動に係るリスクおよび機会を網羅的に評価することにより戦略のレジリエンスを高めていくとともに、それぞれの取り組みにおける指標と目標を明確に定め、事業活動に重要な影響を与える事象については気候変動関連財務情報等により開示の充実を図っいきます。
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ経営を推進するために、2021年6月にサステナビリティ推進室およびサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ推進室は、サステナビリティ経営に係る諸施策を当社グループの中心となって企画、推進します。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長として、社内取締役、各担当執行役員から委員を選出しており、サステナビリティ経営に係る方針や施策などを審議、共有し、決定事項を遅滞なくグループ全体で実行するための会議体として機能します。また、経営会議、取締役会に重要施策の起案や進捗等を報告します。
サステナビリティ委員会は2022年度に9回開催し、重要な施策等である「サステナビリティ方針の決定」や「マテリアリティの特定」などについて企画・立案し、経営会議、取締役会での審議を経て当社グループの決定事項としています。
②戦略
当社グループは、気候変動が自社グループのサステナビリティ経営上の重要課題であると認識しています。そこで、TCFD提言を踏まえてIPCC第6次評価報告書における1.5℃および4℃の気温上昇シナリオを参考に独自シナリオを作成し、当社の中長期戦略の達成目標年である2030年における温度上昇の影響を評価しました。下表にシナリオの世界観を示します。
作成したシナリオに対し、当社グループにおける事業活動に影響を与える事象とその対応策を抽出しました。なお、具体的な取り組みについては現在検討中であり、次期中期事業計画と連動させてマテリアリティ活動の中で決定していく予定としています。これらについては今後、決定次第開示いたします。下表に抽出した事象と現時点で考えられる対応策を示します。
③リスク管理
当社グループのリスク管理はリスク管理体制*に基づき行われており、「リスクマネジメント規程」に沿って、経営上の重大リスクとそれ以外のリスクに分けて進めています。このうち、サステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ推進室またはサステナビリティ委員会の各委員より、サステナビリティ委員会に起案され、リスクの大きさや対処方法などについて遅滞なく審議された後に、その決議事項について、経営会議および取締役会にて審議・最終承認されます。
④指標と目標
当社グループはグループ内における2030年度のGHG排出量を2013年度比で37%削減するという目標を設定し、活動を推進しています。2022年度は、これまでに取り組んできた計画的な省エネ設備投資に加え、購入する電力の一部を年度途中からグリーン電力に切り替えました。これらの取り組みの結果、2022年度の排出量は前年度から9.4%減少の9,077t-CO2となりました。
2023年9月にはベトナムにある子会社のTOKYO KEIKI PRECISION TECHNOLOGY CO.,LTD.(TPT)のPPA(太陽光発電による電力買取契約)も始まりましたので、GHG排出量の削減をさらに加速させていきます。右図にScope1,2の削減推移を示します。
再生可能エネルギー活用の取り組み
TPTでは、2022年3月にPPAを締結しました。その後、ベトナム国内の事情により工事が遅れていましたが、2023年9月から電力の供給が開始されました。これにより、使用する電力の約30%を太陽光発電で賄え、年間約400t-CO2のGHGを削減できる見込みです。また、那須工場でも自社設備として太陽光発電設備の導入を決定しました。発電量は少ないですが、那須工場には365日常に稼働しているクリーンルームがあるため、発電した電力を無駄なく活用できると判断しました。2023年度中の稼働開始を目指しています。
本社ビルのエネルギー削減活動
本社ビルの管理は、子会社の東京計器テクノポート株式会社(TCN)が担当しており、エネルギー使用量についても毎年削減目標を設定して達成状況を管理しています。最近のビルは省エネのために個別空調が一般的ですが、1988年に竣工した本社ビルは、中央にアトリウムを設けており、省エネに有利とは言えない構造です。
しかし、TCNではエネルギー削減に向けた日々の詳細な計画を策定して実行し、2022年度は夏場の猛暑日が多かったにもかかわらず、電力使用量は2020年度と比較して6.4%減少、冬場の暖房にも使用している都市ガスは25.8%の大幅減少を達成しています。
エネルギー価格高騰もあり、使用量削減の取り組みは非常に重要です。TCNの計画に沿って、本社で勤務する一人ひとりができる省エネ行動を増やしていきます。