2022年度(2023年3月期)実績と2023年度(2024年3月期)予想
ステークホルダーの皆様方に於かれましては、益々ご清祥のことと拝察申し上げます。
2022年度(2023年3月期)における世界経済は、中国のゼロコロナ政策の影響があったものの、各国の経済活動の再開が本格化しました。その中で、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の高騰、各国の金融引き締め等により、景気回復への影響が懸念される状況が継続しました。
我が国経済におきましても、従来から続く半導体等の部品供給不足や原材料価格高騰に加えて、急激な為替変動や、エネルギー価格の急上昇など、先行き不透明な状況が継続しました。
このような経営環境の下、当社グループは、2021年6月に開示した「東京計器ビジョン2030」を実現させるため、中期事業計画の基本方針である「事業領域の拡大」、「グローバル化の推進」、「既存事業の継続的強化」に取り組んでまいりました。
「事業領域の拡大」につきましては、防衛・通信機器事業において、宇宙事業の拡大を図るため、小型衛星の複数機同時生産を可能にする宇宙棟(旧称「衛星組立棟」)の建設を開始しました。
「グローバル化の推進」につきましては、船舶港湾機器事業において、新型電子海図情報表示装置(ECDIS)の欧州向けの拡販を強化しました。また、防衛・通信機器事業においては、前期に欧州へ納入した沿岸監視用高分解能半導体レーダーSeaKuの性能仕様値が国際航路標識協会(IALA)の発行するVTS用レーダーの勧告書に記載されることが認められました。これにより、今後海外での販売が一段と進むことが期待されます。更に、その他の事業において、素材検査装置の新製品M-CAP V2をリリースし、需要の旺盛なアジア地域への拡販を強化する等、海外への販売を推進しました。
「既存事業の継続的強化」につきましては、船舶港湾機器事業において、船舶のさらなる燃費削減と省人力化の実現を目指し、ナブテスコ社とシステム製品の共同研究開発を開始しました。加えて、機械式ジャイロコンパス及び光ファイバージャイロコンパスの需要増に対応するため、増産のための設備投資を行いました。
このような取り組みの下、当社グループの当連結会計年度における業績につきましては、受注高の大幅増加や円安効果、全社的な販売価格の適正化への継続的な取り組み等の結果、売上高は前期比で6.7%増収の44,296百万円となり、全てのセグメントにおいても増収となりました。一方、原材料価格の高騰、及び製品構成の変化等により原価率が上昇したことに加え、販管費も増加したことから、営業利益は前期比で19.8%減益の1,312百万円、経常利益は前期比で12.4%減益の1,687百万円となりました。上記のほか、政策保有株式の縮減により株式売却益662百万円を特別利益に計上したものの、油空圧機器事業において減損損失1,115百万円を特別損失に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で41.6%減益の873百万円となりしました。
売上高営業利益率は、前期比で0.9ポイント減少の3.0%、自己資本利益率(ROE)は、前期比で1.9ポイント減少の2.7%となりました。今後、リスク管理を強化しながら更なる事業収益の改善と財務基盤の強化に注力してまいります。
2023年度(2024年3月期)につきましては、エネルギー・原材料価格高騰、日米金利差を背景とした為替変動、ウクライナ情勢や米中対立等の地政学リスクの高まり、インフレと各国の金融引き締め等、不確実な状況が継続すると見込まれます。
このような経営環境の中、次期の見通しにつきましては、過去10年間で最高水準の受注残高や、防衛予算増加を背景として、売上高は3.2%増収の45,700百万円を予想しております。また、人材投資・研究開発投資を行いつつ、各事業において販売価格の適正化等に取り組むことで、営業利益は2.9%増益の1,350百万円、経常利益は8.1%減益の1,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は38.7%増益の1,210百万円を予想しております。
なお、原材料価格の高騰等が業績に与える影響については、現時点で想定されるものを一定程度織り込んでおります。今後、開示すべき事項が生じた場合には速やかに開示いたします。
2022年度の配当につきましては、一株あたり普通配当30円を予定していますが、2023年度は、業績の状況や過去の配当実績等を勘案したうえで、安定的かつ継続的な配当とするため、一株当たり普通配当を2.5円増配し32.5円を実施する予定です。
ステークホルダーの皆様方に於かれましては、引き続き、より一層のご支援とご指導を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
2023年5月12日