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経営による財務・経営成績の分析

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2023年度(2024年3月期)実績と2024年度(2025年3月期)予想

 ステークホルダーの皆様方に於かれましては、益々ご清祥のことと拝察申し上げます。

 当社グループの2023年度(2024年3月期)における業績につきましては、船舶港湾機器事業において海外市場が好調に推移するとともに為替相場が円安に推移したことや、防衛・通信機器事業において、海上保安庁向けの新規案件の納入等により売上高は6.5%増収の47,166百万円となりました。また、利益につきましては、油空圧機器事業をはじめとした販売価格の適正化や製品構成の変化により原価率が改善したこと等から、全ての利益項目で大幅な増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比160.9%増益の2,277百万円となりました。

 当社グループは、2021年6月に開示した「東京計器ビジョン2030」を実現させるため、中期事業計画の基本方針である「事業領域の拡大」、「グローバル化の推進」、「既存事業の継続的強化」に取り組んでまいりました。
 2023年度(2024年3月期)における主な取り組みは以下の通りとなります。
「事業領域の拡大」につきましては、油空圧機器事業において、国立研究開発法人産業技術総合研究所とギ酸からの高圧水素製造装置の小型・実用化モデルの共同研究開発を開始しました。また、防衛・通信機器事業において、宇宙事業の拡大を図るため、小型衛星の複数機同時生産を可能にする宇宙棟を竣工しました。
「グローバル化の推進」につきましては、ベトナムの油圧機器生産子会社のさらなる活用を進めるために、生産品目を拡充しました。
「既存事業の継続的強化」につきましては、船舶港湾機器事業において、公益財団法人日本財団が推進する無人運航船プロジェクトMEGURI2040における「無人運航船の社会実装に向けた技術開発助成プログラム」にコンソーシアムのメンバーとして参加し、ワーキンググループのリーダーとして主導的な立場で活動しました。
 また、防衛・通信機器事業において、昨今の防衛予算の増加を背景とする受注増に伴い、増産体制の強化と将来の新たな製品の開発・生産を行うために、防衛管理棟の建設を開始しました。加えて、その他事業において、鉄道事業の販売拡大を図るため、鉄道保線業務の安全・効率化に貢献する新製品「軌道検査省力化システム」をリリースし、大手鉄道会社に初号機を納入しました。

中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
 2021年6月に開示した「東京計器ビジョン2030」では、当社が創業から125周年という節目にあたりこれからの150周年、200周年に向かって持続的な成長を続けるため、当社グループが2030年にありたい姿を纏めました。そして、2030年の目指す経営指標として、連結売上高1,000億円以上、連結営業利益率10%以上、自己資本利益率(ROE)10%以上の目標を設定しました。
 当ビジョンの下、これまで積み重ねた独創技術の有効活用によるイノベーションによって、SDGs(持続可能な開発目標)を切り口とした「グローバルニッチトップ事業」を創出して、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るステージへの転換を目指しております。
 今後、収益化した成長ドライバーと既存事業の拡大から得られた利益を再投資に回す成長サイクルを構築しながら、新たな成長ドライバーの発掘・育成によって事業規模を拡大してまいります。
 2021年度(2022年3月期)からの3ヶ年中期事業計画では、コロナ禍における想定以上の原材料費の上昇や原油高等によるエネルギー価格の上昇により、利益については計画を大幅に下回る結果となりました。そこで、当社グループ全体に対して、売上を拡大するだけでなく、収益力の向上に重点を置いた指針とし、2024年度(2025年3月期)からの3ヶ年中期経営計画の基本方針は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現し、ステークホルダーの要請と期待に応えていくため、以下3つの基本方針に変更しました。

  1. 収益力の向上
  2. 2030年度(2031年3月期)に連結営業利益率10%以上、自己資本利益率(ROE)10%以上を目標にしていますが、企業活動の継続のためはもちろん、利益率を2030年度(2031年3月期)の目標達成に近づけるため、収益力の向上に重点を置いた事業戦略を推進してまいります。


  3. 事業領域の拡大
  4. 当社グループは、これまで培ってきた有形・無形の様々な経験と強みを生かしながら、社会課題の解決に貢献する特定市場向けの新製品、新事業を創出しトップに育てる“ニッチトップ戦略”を以って、事業領域の持続的な拡大に挑戦してまいります。また、新製品・新事業については、技術・製品サイクルが早まっている中、競争環境の激化、研究開発費の高騰等に対応するため、グローバルな視点を持ちながら、適宜、M&Aやオープン&クローズ戦略も活用してまいります。


  5. 経営基盤の強化
  6. 「収益力の向上」と「事業領域の拡大」を目指し、「東京計器ビジョン2030」の経営指標を達成するためにも、当社グループ全体で人的資本の強化、ガバナンスの強化、資本効率の改善、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、開発投資の実行を推進して、経営基盤の強化を図ってまいります。

2024年度(2025年3月期)の見通し
 2024年度(2025年3月期)につきましては、原油・原材料価格の高騰等に端を発した物価上昇、各国の金融引き締め継続による景気回復の遅れと円安の継続への懸念が残る中で、ウクライナ情勢や米中対立、中東情勢等の地政学リスクの一層の高まりや米国大統領選挙結果の影響等、不確実な状況が継続すると見込まれます。
 このような経営環境の中、2024年度(2025年3月期)の見通しにつきましては、防衛・通信機器事業で売上増が見込まれていることに加えて、他事業も堅調に推移することから、売上高は21.5%増収の57,300百万円、営業利益は28.6%増益の3,560百万円、経常利益は26.4%増益の3,780百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は25.2%増益の2,850百万円と、全体として増収増益を予想しております。

利益配分に関する基本方針及び当期・次期の配当
 当社は、「東京計器ビジョン2030」の実現による企業価値向上に向け、成長投資を最優先としつつ、財務基盤とのバランスを考慮しながら、最適資本構成を意識した最適な株主還元施策を実施することを基本方針としています。その上で、毎期の配当につきましては、過去の配当実績も勘案し、安定的かつ継続的な株主還元に努めてまいります。
 2023年度の配当につきましては、1株当たり普通配当32.5円を予定しています。
 2024年度(2025年3月期)の配当につきましては、業績の状況や過去の配当実績などを勘案したうえで、安定的かつ継続的な配当とするため、1株当たり普通配当を2.5円増配し35円を実施する予定です。
 これは2000年度以降の過去最高を2期連続で更新予定です。

 ステークホルダーの皆様方に於かれましては、引き続き、より一層のご支援とご指導を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


2024年5月10日