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船舶事故を未然に防止する
交通管制を支える

海上交通センター

東京湾、上海、シンガポール、ロッテルダムなど、世界有数の船舶の通航量を誇る港湾都市に設置されている海上交通センター。航空管制が航空機の離着陸や飛行を管理するのと同様に、港湾や海峡で船舶の交通を管制しています。

日本では海上保安庁が運用しており、東京計器は海上交通を整理する管制システムや船の位置情報を把握するための様々なセンサ機器を提供しています。これにより、船舶の効率的な運航と海難事故防止に貢献しています。

日本経済を20日止めた、燃える船

第十雄洋丸事件

1971年に東京湾で海難事故が発生し、
大型船が20日間にわたり炎上しました。
この事故により東京湾の海上交通が制限され、
日本経済に大きな影響を与えました。
日本の輸出入の約99%は海上輸送に依存しているため、
このような事故が再び発生しないよう、
1977年に海上保安庁は神奈川県観音埼に日本初の
海上交通センターを開設しました。

海上交通センター

このセンターには、
船舶の位置情報を把握するためのレーダーを含む
管制システムが導入されました。
これらの設備は沖電気工業株式会社の海上交通部門が
50年以上前に納入し、東京計器が事業譲受し、
イノベーションを繰り返しています。
現在は全国に七箇所配置され、海難事故を未然に防ぎ、
日本経済を支え続けています。

主要製品

海上交通情報処理システム

何のための製品なのか

海上交通情報処理システムは、海域の複雑な状況下でも管制官の迅速かつ正確な意思決定を支援するため、必要な情報をリアルタイムで統合し、直感的に認識できる形でディスプレイに表示します。

どんな時に役立つのか

想像してください。濃霧が発生し視界が著しく悪化した状況で、大型船の航路を無防備な小型の船が横切ろうとしています。この危険な状況において、海上交通情報処理システムは、船舶の予測進路を自動で計算し、衝突を防止するための警告を管制官に即座に提供します。管制官はその警告に基づき、危険な船舶に回避行動をとるよう連絡し、衝突事故を未然に防ぐことができます。

最新技術の紹介

東京計器は海上保安庁に、入港前の船舶が船舶保安情報を通報する手続きを効率化するWeb通報システムを導入しました。このシステムは、従来の電話やFAXに比べて許可申請の時間を大幅に短縮し、数十分かかっていた手続きが数分で完了するようになりました。さらに、高度なサイバーセキュリティ対策が施されており、安全でスムーズなサービス環境を実現しています。

このシステムは、海上交通情報処理システムに統合され、管制官が船舶の入港手続きを迅速かつ正確に処理できるよう支援します。東京計器は、海上保安庁や船舶運航会社のコミュニケーションをデジタル化することで、海上交通の効率化と安全性の向上に貢献しています。

高分解能レーダー装置

何のための製品なのか

東京計器の陸上に設置される高分解能レーダー装置は、海上の船舶などからの反射を捉え、その位置や動きを読み取り、海上交通センターの「眼」として、船舶の安全な航行を支援する装置です。

どんな時に役立つのか

船舶の安全かつ効率的な航行を支援するためには、海上の様々な船舶の正確な位置情報が不可欠です。高分解能レーダー装置は、これらの情報を高精度に取得します。

港に入る船舶には、水先案内人が乗船することが義務付けられています。欧州のある港では、この乗船場所である錨地が沖合40kmの遠方に位置しており、濃霧の中でも水先案内人が乗船しなければなりません。欧州の海上交通センターは、濃霧でも安全に水先案内人が船舶まで移動できるよう、遠隔の航行支援業務を実施したいと考えていました。しかし、欧州で流通しているレーダーでは彼らが求める性能を実現できませんでした。そこで東京計器は欧州のメーカーと共同で、求められた性能を実現するために高分解能レーダー装置の性能をさらに向上させたモデルを開発し、お客様に満足いただける性能を達成しました。

最新技術の紹介

東京計器は最新の技術を駆使し、猛烈な台風でも壊れずアンテナを回転させ続ける、耐風速型回転機構部を開発しました。レーダー装置は従来の設計値よりも強い風速でも24時間365日稼働し、海上交通センターの業務を支えています。

耐風速型回転機構部に採用したモーターは、ダイレクトドライブという方式です。これは、従来の間接的な機構を排除し、直接回転力を伝達する方式であり、メンテナンスフリーで回転速度の安定化が実現できます。この技術は、洗濯機や産業機械の駆動部としても採用されており、日本初のレーダーの回転機構部として製品化されました。

次世代AISシステム

何のための製品なのか

船舶自動識別装置(AIS)は、船舶間や海上交通センターとの情報交換を可能にする、海上通信技術です。AISは海上の船舶が自身の位置情報や航行情報を共有し、安全な航海を支援します。

どんな時に役立つのか

AISの利用は、海上交通センターの管制官がレーダーだけでは得られない船舶情報を取得できるため、船舶の航行支援や衝突回避において非常に有益です。特に、船舶が危険物質を積載している場合など、その船舶を特定し、適切な対応を行うことが可能となります。

最新技術の紹介

次世代AISシステムは、通信技術の進化により、より高速なデータ交換が可能となります。これにより、船舶間と海上交通センターの情報共有がリアルタイムで行われ、船舶航行の安全性向上が期待されています。さらに、新たな機能やアプリケーションの開発により、船舶の運航効率が向上し、環境負荷の低減にも貢献します。

東京計器は、次世代AIS等のあらゆる製品開発に際し、最先端技術の基礎研究から実践的な製品設計まで一貫して取り組み、船舶の安全航行の未來を切り開くための取り組みを積極的に進めています。

この仕事の採用情報

海上交通事業の特色

海上交通部は、営業部門・設計部門共に「現場に赴く」特色があります。欧州のレーダーや耐風速型回転機構部のプロジェクトでも現地に数多く出張しました。欧州のメーカーへの技術指導、レーダーの設置工事の支援、製品の評価試験など、実際に製品を創り、使うヒトと直接会うからこそ、お客様や関係者との信頼関係が生まれ、お客様や関係者の満足した顔が見られるのが、海上交通部の仕事の特長であり魅力です。

国内での仕事風景

サーバールーム

東京計器は国内で行政機関が運用する、
大規模なサーバーシステムを構築できる数少ない企業です。

レーダー性能実験

レーダーの性能を評価するために船をチャーターして実験をする時は、
営業と技術者で協力して実施します。

離島のシステム

なかなか行けない沖縄の離島にも、
東京計器のシステムが設置されています。

レーダー設置作業

レーダーは見通しのよい高い場所に設置するので、
いつでも鉄塔の上からの眺めは絶景です。

海外での仕事風景

日本大使公邸

日本大使公邸で開催された展示会でブースを出し、
製品紹介を現地のお客様に向けて実施しました。

メンテナンス訓練

ベルギーの職人にレーダーの設置・操作・メンテナンスに関する
技術的な訓練を、現地で製品を用いながら実施しました。

ムニエルとワイン

欧州出張の各地で舌平目のムニエルとワインを堪能するのが、
出張の際のモチベーションだったりします。

食事会

フランスで開催される国際会議には世界各国の専門家が集まり、
日中は会議場で夜は食事会で熱い議論が繰り広げられます。

プロジェクト