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ウインドチャレンジャー計画に参画

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ウインドチャレンジャー計画に参画 ハイテク省エネ帆船で世界の海へ

ウインドチャレンジャー計画に参画
ハイテク省エネ帆船で世界の海へ

東京計器は2014年10月より、東京大学を中心とした大型帆船プロジェクト「ウインドチャレンジャー計画」に参加しています。
これは、巨大な帆を使った風力エネルギーとエンジンとのハイブリッドによる推進力で省エネ性能に優れた大型商船の開発を目的としたプロジェクトです。海運会社にとって、輸送コストの削減は大きな経営課題のひとつであり、そのカギを握るのが船舶の省エネ運航の実現です。また、CO2の排出量削減も企業の大きな社会的責任となってきており、こうした海運業界を取り巻くニーズを背景に本プロジェクトは発足しました。今号ではその概要と、東京計器の取り組みについてご紹介します。

商船の燃料費と省エネへの取り組み

商船の燃料費と省エネへの取り組み

海上物流の主流となる国際商船。こうした商船の運航にどのくらいの燃料費がかかっているのでしょう。たとえば、日本から米国シアトルを往復する場合、約8,000万円もの燃料費が発生するといわれています。こうした莫大な燃料費を抑えるため、現在までに水の抵抗を軽減する船体形状やキャビテーションを抑えたスクリューの開発、また、マイクロバブルと呼ばれる微細な気泡を利用して船体の摩擦抵抗を軽減させるなど、さまざまな研究が行われてきました。しかし、抜本的な解決に結びついていないのが現状です。こうした中、ウインドチャレンジャー計画は燃料費を年平均30%低減させるという挑戦的な目標を掲げています。風力という自然エネルギーを利用するため、省エネとCO2 排出量削減の2つが同時に実現できる夢のようなビッグプロジェクトです。

夢のビッグプロジェクト、ウインドチャレンジャー計画

夢のビッグプロジェクト、ウインドチャレンジャー計画

2009年、ウインドチャレンジャー計画は船舶における推進エネルギーのグリーン化をテーマに東京大学を中心とした産学共同研究としてスタートしました。現在まで、東京計器を含め、日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手海運会社や、大島造船所などの造船会社が参加してきました。ウインドチャレンジャー計画で建造予定の船は、長さ約220mの貨物船(84,000t級)。船上には高さ50m、幅20mの強化プラスチック製の帆が4本設置され、風から強力な推進力を得ます。2009年に始まった第1フェーズでは、巨大な貨物船の技術的・経済的・法規的な成立性の確認および実海上航海シミュレーション、伸縮可能な大型硬翼帆の製作が行われました。2013年から始まった第2フェーズでは、硬翼帆を搭載した大型船の設計や運航についての具体的な検証を行っています。第2フェーズと並行するかたちで2014年から始まった第3フェーズでは、第1船の就航をめざし、第1・第2フェーズで研究された最適航路を維持するために必要な航海計器の開発などに取り組んでいます。

東京計器のミッション 世界初の航海計器の研究開発

東京計器のミッション 世界初の航海計器の研究開発

東京計器は、2014年に始まった第3フェーズにおいて、帆装船に適したオートパイロットの開発という重要な役割を担っています。帆船にとって、風はなくてはならないものですが、風向きによっては最適な航路を阻む障害にもなります。それだけに、風を的確に捉えながら針路を最適に制御するオートパイロットが大変重要になります。そこで今回は、NCTeN(エヌシーテン)という新しい制御方式を採用する予定です。NCTeNとはオートパイロットに搭載するソフトのひとつ。計画航路、GPSからの位置情報、船首方位、対水速度などの航海データを用いて、船体運動特性や外乱成分を推定し、無駄な舵を切らずに適切に操舵する優れた制御性能を持っています。ユーザーにとっては複雑で面倒な手動設定が自動で行えるという大きなメリットがあります。NCTeNによって、こうした大型帆船に限らず通常の商船に関してもより安全な航海をお客様にご提供できるようになるでしょう。無限の可能性を秘めた風力エネルギーと、ハイテク技術の融合を目指したウインドチャレンジャー計画。この挑戦に東京計器も熱い情熱を持って取り組んでまいります。

本コラムは、東京計器レポート Viewsの記事を抜粋、再編集しています。
広報誌全体はこちらからご覧ください。(PDF形式:約4.5MB)