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宇宙に羽ばたく衛星のキーデバイス

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国産小型SAR衛星のキーデバイス。東京計器のマイクロ波パワーアンプが宇宙に羽ばたく!

国産小型SAR衛星のキーデバイス。
東京計器のマイクロ波パワーアンプが
宇宙に羽ばたく!

東京計器が開発したマイクロ波パワーアンプが国産の小型人工衛星に搭載され、宇宙に飛び立ちました。

天候、昼夜を問わずに宇宙から地表を観測するSAR衛星

天候、昼夜を問わずに宇宙から地表を観測するSAR衛星

打ち上げを行ったのは衛星データ解析によるソリューション提供と小型SAR衛星の開発・運用を行う株式会社Synspectiveです。同社は内閣府の革新的研究開発プログラム「ImPACT]で開発された小型SAR衛星の技術を社会実装するために創立された宇宙ベンチャー。「StriX-α(ストリクス‐アルファ)」と名付けられた小型SAR衛星は同社初の実証機であり、この打ち上げ成功によって自社衛星を活用したデータビジネスを展開していく計画です。
SARとは Synthetic Aperture Radarの略称で合成開口レーダーとも呼ばれ、移動しながら地表に向けてマイクロ波を照射し、その反射波を画像解析することで地表の状態を宇宙空間から把握するものです。光学カメラを搭載した衛星の場合、夜間や雲で覆われている地表面は観測できませんが、マイクロ波は雲を透過して地表に届くので天候や昼夜を問わずに観測できるのが特長です。SAR衛星を活用すれば洪水災害の被害状況の把握や地表変化のモニタリング、インフラ開発の情報収集などに広く役立てることができるため、衛星ビジネスの中でもひときわ注目を集めています。

極限環境に耐える機器の開発

極限環境に耐える機器の開発

Synspective社は「StriX-α」による地表画像の初取得に成功したと発表。民間の小型SAR衛星による画像取得は日本初の快挙です。この「StriX-α」には東京計器が開発したマイクロ波パワーアンプが搭載されています。これはレーダー信号を地表へ向けて発し、その反射波を受信できるレベルまで増幅するSARの心臓部とも言うべきキーデバイスです。6個のマイクロ波モジュールコンポーネントにより1kWという高出力なマイクロ波を生み出します。この製品の開発・設計は高出力マイクロ波技術と防衛・航空分野で培った耐環境性や信頼性の高い技術がベースとなりました。
しかし、ロケット打ち上げに伴う強い振動・衝撃、-150℃~+200℃という極端な温度変動、高エネルギーの宇宙放射線など、宇宙機器にはクリアすべき高いハードルがあります。これを乗り越えるため、生産はグループ会社である東京計器アビエーション(TKA)の宇宙機器課が担当。同メンバーは他社での衛星向けの電源ユニットや高周波無線機器など数々の生産に携わり、その高い技能はお客様から絶大な信頼を受けています。両者のコラボレーションによってSAR用マイクロ波パワーアンプは誕生しました。

小型化の実現と衛星観測網の構築

小型化の実現と衛星観測網の構築

今回打ち上げられた「StriX-α」は小型であるにも関わらず大型SAR衛星に匹敵する性能を持っていることも大きな特長の一つです。従来の大型SAR衛星の重量は1トンを超えるものが多いところ、「StriX-α」はその1/10である100㎏級の小型衛星でありながら、地上分解能は1~3mと高精細、観測幅は10~30kmの広範囲を誇ります。この性能の実現には当社のマイクロ波パワーアンプが大きく貢献しているのです。
高分解能を可能にするXバンドの高周波帯と1kWの高出力を有した100㎏級の小型衛星は世界的にも例が少なく、今後の宇宙開発に影響を与えることが予想されます。Synspective社では、最終的には30基のコンステレーション(衛星群)によって広範囲、高頻度の地上観測を可能にするシステムの構築・運用を目指す予定です。これによって世界のどの地域で災害が発生しても2時間以内に観測することが可能になると言われています。
東京計器のマイクロ波パワーアンプは今後打ち上げられるすべての衛星に搭載される計画となっており、宇宙事業分野を力強く開拓する活躍から目が離せません。