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研究開発および品質管理の取り組み

承認:エディタ

 東京計器グループの製品は、船舶、航空・宇宙、産業機械、農業・建設機械、社会インフラなど世界中のさまざまな分野で活躍しています。このような製品を供給するメーカーとして、研究開発と品質管理は当社グループの経営の根幹であると認識しています。研究開発および品質管理とも、コーポレート・スタッフ部門によるグループ横断的な取り組みと、よりお客様に近いところでの各カンパニー・子会社による取り組みを両輪で進めていくことにより、社会に貢献する製品の開発とその品質の向上を推進しています。

研究開発の考え方

当社グループの研究開発の基本方針は、経営理念である「計測、認識、制御といった人間の感覚の働きをエレクトロニクスをはじめとする先端技術で商品化していく事業を核として、社会に貢献する」に立脚し、研究所機能である「研究開発センタ」の技術戦略および研究開発計画、カンパニー・子会社の製品開発に展開されています。

研究開発の体制

 研究開発センタは、比較的中長期の研究開発を行うことが主体となっており、その成果を活かした製品開発を各カンパニー・子会社の開発部署が行うことが基本となっています。研究開発センタは将来の事業機会を捉え、事業の核となる技術の研究開発活動を行っている一方で、各カンパニー・子会社は、お客様のニーズをもとに、数年先に製品化する商品の先行開発を含めた製品開発活動を行います。また、研究開発センタは各カンパニー・子会社単独では非効率な研究開発の委託研究や、個別案件での技術支援を担っています。

開発委員会
 開発委員会は、技術担当役員が委員長を務める会議体で、研究開発センタ長、各カンパニーの技術部長等で構成されています。開発委員会は、当社グループの技術戦略立案や技術戦略実行に関するさまざまな事項を決定し、必要に応じて委員長が経営会議へ提案または報告します。

産官学との共同研究の実施
 当社は産官学との共同研究にも積極的に取り組んでいます。最近の事例を紹介します。

MEMS半球共振ジャイロスコープ
 ドローンなどの移動体が衛星測位信号無しで自律的に移動するためには、加速度や角速度を測定し、自らがどれだけ動いたかを確認しながら移動する「慣性航法」を行いますが、長時間の移動を正確に行うためには、超 高精度なジャイロスコープが必要となります。この超高精度ジャイロスコープに関して、2021年度安全保障技術研究推進制度に当社の「3次元一体成型によるMEMS半球共振ジャイロスコープの研究」が採択されました。これは、当社の得意とするジャイロ技術にMEMS技術を応用することにより、高精度でありながら、小型、軽量、省電力、かつ低コストが期待できるジャイロスコープを目指す研究で、ドローンをはじめとするさまざま な移動体の自律化・自動化が進む社会で、幅広い応用が期待できます。
※ MEMS(メムス:Micro Electro Mechanical Systems):シリコン基板・ガラス基板・有機材料などの上に、機械要素部品、センサー、アクチュエータ(エネルギーを物理的な動作に変換する装置)、電子回路などを搭載したミクロンレベルの部品。

完成予想図

品質マネジメントに関する考え方

 当社グループの品質に関する理念は、経営理念「商品は品質を第一とし、顧客の信頼に応える。」に立脚し、グループ行動指針、倫理行動基準等で具体化し組織に展開されています。

各カンパニーに共通する品質管理方針
 基本理念の実現のために、各カンパニーが品質方針を打ち出し、ISO9001をはじめとした各種認証を積極的に取得し、継続しています。
ISO9001の認証取得状況・その他認証取得状況

品質マネジメント推進体制

2階層での品質保証活動
 本社のコーポレート・スタッフ部門に、品質に関する全社横断的な課題に対応する「品質統括室」を設置しています。
 この品質統括室においては、当社グループの製品の品質を一定以上に保つよう組織横断的に品質の管理監督を行い、品質に係るリスクの発現を未然に防止する活動を行っています。具体的には、当社製品の品質に係る全 社的なルールである「技術・生産規程」の維持・管理や、検査品質監査を、各カンパニーおよび子会社に対して行うことで、各カンパニー・子会社の品質保証部による自主的な品質マネジメント活動を補完しています。
 個々のカンパニーにおいては、営業部、技術部、生産部とは独立する形で品質保証部を設置し、「契約→設計・開発→購買・生産・検査→サービス」の各プロセスで助言・指導を実施しています。なお、事業特性の異なる各カンパニーにおいて、「技術・生産規程」に反しない範囲であれば、独自に業務ルールを策定できるよう、「カンパニー等技術生産規程」の枠組みを定めています。
2階層品質マネジメントの模式図

品質部会
 品質部会は、社内における横断的な品質問題の情報共有および解決の場として設けられた、各カンパニー・子会社の品質責任者を部会員とする品質担当役員所掌の会議体です。品質統括室の主催によって年4回主催され、品質に関する全社的な問題や将来的な課題を抽出し、解決に向けての施策立案等を実施しています。各カンパニー・子会社において、品質上の懸念が生じた場合、品質部会において品質担当役員への報告が行われます。品質担当役員が必要と認めた場合、是正の指示を行うとともに、経営会議等、必要なレベルへの情報エスカレーションが行われます。

品質マネジメントに関する具体的な取り組み

検査品質監査
 品質統括室が各カンパニー・子会社に行う検査品質監査は、監査としての実効性を確保したうえで、各カンパニー・子会社の品質管理の力量が向上するよう、年度ごとに監査方法や対象範囲の見直しを実施しています。

品質部会の活動
 品質部会では、さらなる製品品質の向上を目的として、これまでそれぞれのカンパニー・子会社が個別に蓄積していた不具合事例や周辺知識をグループ横断的に共有するための「不具合データベース」の構築を進めています。現在は、共用開始に向けた社内不具合事例の収集と情報整理を行っているところです。

改善提案(M札)活動
 当社ではM札による改善活動を推進しています。M札とは、職場内にあるM:ムダを見つけ「札」に記載し職場改善につなげるための手段です。全従業員が参画し、職場内にある7つのムダを職場ごとに集計し対策を「個人」「サークル」に分類し改善する活動を行っています。その結果、作業環境を含めた作業改善が図られ、品質の安定につながっています。
7 つのムダ
1. 加工のムダ
2.在庫のムダ
3. 造りすぎのムダ
4. 手待ちのムダ
5. 動作のムダ
6. 運搬のムダ
7. 不良・手直しのムダ
品質研修
 不具合事例に対し「不具合事例報告」や「ワンポイント・レッスン」といった教育資料を作成し、関係者に周知し、水平展開を行い各人の行動に落とし込むよう啓発し、不具合の再発防止を図っています。また、QMS強化の一つに品質内部監査がありますが、内部監査員教育を実施し主任監査員や監査員としての力量の維持向上を図っています。さらに各カンパニーで品質会議を開催し、不具合報告と対策の共有を行っています。
 具体的な活動として、例えば那須工場の電子システムカンパニーおよび通信制御システムカンパニーでは、階層別教育として入社時および昇格時に品質保証や品質マネジメントシステムの知識教育を実施しています。日 頃の啓発活動としては、ヒューマンエラー報告会を実施し、不具合予防を図っています。また、「品質月間」を設け、従業員から品質標語を募集し、優秀作品の工場内への掲示や、従業員のメール発信時の署名に付け加えるなど、普段からの品質意識の維持・強化を図っています。

結果の数値:顧客満足度
 当社グループの品質管理は、当社製品の品質に起因しない個々のお客様の固有の問題であっても、お客様の問題が解決するまで寄り添う「問題解決型の品質保証」を徹底することで顧客満足度を向上させています。顧客 満足度については、その把握および向上を目標に置き、各カンパニーにおいてそれぞれの事業特性に応じてさまざまな方法で定量的に捉える工夫がされています。
 また、品質の確保こそが顧客満足度に直結することを踏まえ、Fコストによる計数的な管理と原因・対策の共有を図っています。


サプライチェーンマネジメント

基本的な考え方
 生産活動の源泉は、製品製造に必要な部材を、必要なタイミングで調達することにあります。私たちは当社グループのサプライヤーの皆様との信頼関係を構築し、その継続および相互利益の実現を図る中で、安定した生産活動を具現化し、確かな品質の提供を通じて社会に貢献していきます。

資材管理基本方針
 確かな品質のものを、適正な価格で、必要な時期に、必要なだけ、という基本的な考え方に基づき調達活動を実施する。
 そのために、全社購買組織のセンターとしての機能を整備・維持・管理し、円滑かつ適切な資材調達活動に寄与する。
 また、購買先との協力関係・信頼関係のもと、資材調達における健全かつ安定した供給体制の維持向上に継続して取り組む。
  1. 購買業務の基幹システムTBB と、関連システム(購買依頼B 票システム・買掛金システム・ファクタリングシステム・Web-EDI・リースシステム)を維持・管理し相互の連携をもって、購買業務及び関連業務を推進する。
  2. 工場資材部署との連携のもと、Web-EDI の加入促進を継続し、購買業務の効率化を推進する。
  3. 購買管理業務における内部統制(社内規定・法令等の遵守、リスク管理、財務報告に係る購買プロセス)管理を継続して行なう。
  4. 健全かつ安定した資材供給体制の維持・向上を図るため、主要購買先の静態観察を実施し、関連部署にフィードバックする。また、定常・非定常の各種機会を通じた連携により、協同組合や協力会加盟業者との緊密な関係を維持する。
  5. 本社購買部署として、コストダウンに取り組む。また、組織力強化を目指した改善活動に取り組む。
サプライチェーンマネジメントの体制
 当社グループのサプライチェーンマネジメント体制は、本社スタッフである資材管理室と、各カンパニーの購買部門により構成されています。資材管理室と各カンパニーの購買部門に上下関係はなく、資材管理室は社長直轄の組織として、各カンパニーの購買業務を支援しています。

購買管理の取り組みについて
 資材管理室は、全社に係る基本方針や「標準購買規程」、当社グループで使用する定型の取引基本契約書の維持管理、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の全社への指導、購買業務および買掛金業務の統括、基幹情報 システム(TBB システム) の維持管理、サプライヤーの経営情報に基づく与信管理、協同組合および協力会加盟業者への活動支援などの管理業務と、本社地区の製品開発用資材の調達を担当しています。
 各カンパニーの購買部門は、主に各カンパニーの生産活動に必要な生産資材の調達を行っており、国内外のサプライヤーの皆様と効率的かつ公平・公正な購買取引を行っています。取引開始に当たっては資材管理室が準備した定型の取引基本契約書を締結することを原則としており、購買業務でTBBシステムを使用することで標準購買規程に則った運用となるように設定されています。各購買担当者の能力開発はカンパニーごとに実施しているほか、資材管理室は購買担当者の下請法セミナー受講を推奨し、各購買部署に対し受講推進の働きかけをしています。2021年度は購買担当者56名中16名が受講しました。

サプライチェーン全体での品質向上

 サプライヤーの皆様向けの事業方針説明会を、当社グループの主要な生産拠点(那須工場、矢板工場、佐野工場)ごとに毎年5月に実施し、的確な情報提供に努めています。品質監査については各カンパニーの品質マネジメントシステムに基づく、取引開始時の品質監査や定期品質監査、臨時品質監査を適宜実施しています。当社グループのサプライヤーの規模はさまざまですが、特に加工部品取引先については小規模な会社が多く、購買担当者との直接対面での対話を重視しています。対面での対話を重視することで、サプライヤー側での労働環境状態や品質管理に関する実態の把握がしやすく、サプライヤーとの長期的な信頼関係構築にもつながっています。なお、2021年度のサプライヤー監査は合計46件でした。
 また、切削・板金加工、組立加工等のサプライヤーには、グリーン調達(環境負荷物質対策)業者としての認定制度があり、該当するサプライヤーに対しグリーン調達審査を実施しています。この審査の際には環境負荷物質の低減・排除についての説明・指導を行います。

トキメート・J会
 トキメート・J 会は、当社グループの中小サプライヤーの若手経営者や次世代の経営継承者が集まる組織です。会では、技術交流や勉強会のほか、当社の国内外の生産拠点等を研修目的で訪問する行事を定期的に行っています。会は資材管理室や各生産拠点の購買部署が全面的に支援しています。